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I.緒言
1851年Corti1)は内リンパ液の分泌は,蝸牛内の血管条(stria vascularis)より行なわれるのではないかと推察したが,その後多くの研究者によつて,内リンパ液の分泌部位についての研究が始まり,第1表に示す如き蝸牛内の多くの部位が,内リンパ液の分泌部位として指摘され報告4)されてきている。また内リンパ液の吸収部位についても,第2表に示す如く,1927年Guild2)が前庭水管を通して,内リンパ嚢で吸収されるのではないかと推察してより,内リンパ液の分泌部位と同様に多くの部位が,内リンパ液の吸収箇所として報告4)されて来ている。またこれに加えて,Corti'sorganのcochlea tunnelやNuel's spaceなどには近年になつて,コルチリンパ液の存在が指摘されてきたが,これについては,外リンパ液の流入したものだと推定されている。またRauch4)によれば,蓋膜直下と有毛細胞との間隙には,第4リンパ液の存在の可能性が指摘されている。
この内リンパ液は,その分泌,吸収過程や外リンパとの交流において,二つの異なつた流れが考えられている。その一つは前庭水管を通して,内リンパ嚢へと進む流れ(longitudinal fiow)であり,この説はGuild2)が提唱したものであり,内リンパ嚢において,内リンパの水分と容質が吸収されるという考えにもとづいたものであつた。その他の流れとして,ライスネル氏膜を通した,radial flowのあることがNaftalin5)によつて指摘されている。しかし一方では,Iwata(1924)6)は,内耳の中の特殊な細胞,彼はdark cellsと呼んだが,これらの細胞が血管条のみならず半規管膨大部,総脚,卵形嚢にも認められるが,これらの細胞が内リンパ液の分泌,吸収に関係があるのではないかとの説を発表したが,Dohlman7)は,内リンパ液の分泌は,内耳の非感覚細胞群の中のdark and light cellsによつて行なわれているのではないかという説を,電顕的観察結果より報告している。
Light and submicroscopic studies of the endolymphatic tissues were carried out using avian inner ear (Columba domestica).
Dark and light cells in the endolymphatic tissues were described from the cristae ampullaris, maculla neglecta, sacculus, utriculus, tegmentum vasculosum, otolith lagena and endolymphatic sacculus.
Morphological similarity between the renal tubles and the dark and light cells suggested that they thought to be the sources of production and absorption of the endolymph in the avian ear.
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