特集 今日の耳鼻咽喉科
日常診療に必要な知識
全身管理
非経口栄養の利点と限界
小越 章平
1
1千葉大学医学部第二外科学教室
pp.909-912
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208989
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I.はじめに
最近の非経口栄養法の発達はめざましく,とくに外科領域においては抗生物質の存在と同等な必要性をもっているといつても過言ではない。とくに経中心静脈高カロリー輸液(中心静脈栄養法)が,小児外科から一般外科に導入され,その大きな臨床効果のために栄養というものが単なる栄養状態の保持ということにとどまらず,積極的な一つの治療法として成り立ち,病態においては本法のみが救命のための不可欠の手段となつているものもあり,従来とても救命が無理であろうと考えられた症例も次々に助けられ,皆の日をみはらせることも頻々であつた。また最近は,この静脈栄養における高熱量投与の歴然たる効果を背景に,経腸的に高カロリー投与を行なおうという努力がなされ,成分栄養法(エレメンタルダイエット)が開発され,わが国でも外科に限らずいろいろな分野でブームを呼んでいる。著者は消化器外科を専門とするものであるが,耳鼻咽喉科における外科的栄養法(surgical nutrition)の利点と限界をのべとくに実地の診療の参考になれば幸いである。
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