特集 今日の耳鼻咽喉科
日常診療に必要な知識
全身管理
気管カニューレについて
秋山 欣治
1
1獨協医科大学気管食道科学教室
pp.913-916
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208990
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I.はじめに
近年,気管切開術の適応は挿管技術の進歩とともにその様相が変ってきており,とくにショック,気道の急性炎症,気管・気管支異物などに対する施行例が減少し,脳血管障害,肺疾患など長期呼吸管理の必要なケースが増加している。したがつて,気管カニューレも従来のように救急的に気道を確保するばかりでなく長期の留置を目的とした点からの考慮が要求されている。
第1表は昭和49年7月開設以来5年間に獨協医大気管食道科で行なわれた気管切開例であるが,中枢性呼吸障害や上・下気道疾患に対する気切例が増加している。これに反し従来,乳幼小児に数多くみられた気道の急性炎症や異物に対する気切例は1例もなく,これらは挿管によつて管理され,また,緊急気切は喉頭の先天性奇形,腫瘍,自殺の3例である。気切に当つては安全確保のためある程度余裕のあるケースにおいても13例が挿管麻酔下に行ない,麻酔の目的以外は長期に呼吸管理の必要な症例であつた。
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