特集 今日の耳鼻咽喉科
日常診療に必要な知識
全身管理
悪液質とその対策
小黒 八七郎
1
1国立がんセンター内科
pp.905-908
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208988
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I.悪液質cachexiaとは
悪液質とは英語のcachexia,cachexy,ドイツ語のKachexieの訳語である。この言葉を語源的にみると,ギリシャ語のkakós(bad,悪い)とhéxis(condition of body or habit,体の状態または体質)から合成されたkakhexiaに由来している。
医学の祖といわれているギリシャのHippokrates(460?〜377B. C.)やGalenus(130?〜200?)は体液病理学説を唱えた。この説によれば,健康状態を支配するものは血液,黄色および黒色胆汁や粘液などの諸体液とくに血液の混合状態であるとし,それらの異常により病気になるとした。この説で用いられたkakhexiaとは体液とくに血液の異常な混合状態で,体質異常または血液異常の意味であつた。
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