創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
鼻—症候と疾患
術後性上顎嚢胞の手術
飯沼 寿孝
1
1順天堂大学医学部耳鼻咽喉科
pp.782-784
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208739
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注意する部位
術後性上顎嚢胞(以後は嚢胞と略)の診断一般は省略し,手術の適応となつた段階から記載を始めたい。従来から明らかなように初回手術で粘膜残存が生じやすい部位は一定している。果たして嚢胞が残存粘膜のみから発生するか否かの病因論は問わず,なんらかの機序でこれらの部位に嚢胞が発生するとその発見は必ずしも容易ではない。ことに多房性嚢胞では,到達が容易な部位の嚢胞が開放されたのち,発見が困難な部位の嚢胞が確認されぬまま手術が終了する怖れがある。これらの部位は第1図に示す4つの陥凹である。患者が仰臥位であることからこねらの部位を十分に明視するには努力を要する。X線診断である程度の情報が得られるが,注意すべき点は術前の上顎洞とは異なりウォータース位のみが必ずしも有用ではなく,歯槽陥凹にはコールドウェル位,口蓋骨陥凹には側方向が必要である。できれば矢状方向と側方向とのポリトームの併用が望ましい。
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