目でみる耳鼻咽喉科
術後性上顎嚢胞(頬部嚢腫)
朝倉 昭人
1
1獨協医科大学口腔外科
pp.660-661
発行日 1982年9月20日
Published Date 1982/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209486
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18歳以下の発育期に副鼻腔の手術を受けると,高い率で術後性上顎嚢胞が形成されるといわれている。
手術後.上顎洞は主として自然孔に向かって骨性に充塞ざれる傾向にあるが,自然孔,対孔が閉鎖され,ムコツェーレ型の嚢胞になったり,洞が再生して気胞化し,多房性の嚢胞を形成する場合,頬部瘢痕の残存粘膜が肉芽に埋没されたり,間隙に十皮形成が行われて洞前壁部に頬部嚢胞を形成するほかに,洞底部の歯根尖が前回の手術で傷つけられ,歯根尖に炎症があり,この周囲の骨再生がさまたげられ骨腔となり,嚢胞を形成されたと考えられる症例や,智歯の歯胚が前回の手術で傷つけられ、上顎洞後方に嚢胞壁の厚い,血清様の内容液を含んだ,濾胞性歯嚢胞型の嚢胞を形成したと考えられる症例もみられる。
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