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I.はじめに
レントゲンによるX線の発見から約80年,X線診断をComputerと結合させて頭蓋内の情報を得る装置を,英国EMI社のHounsfield10)が1972年に実用化して発表し,革命的な診断法と評価され,たちまち燎原の火の如くに世界に広まつてきている。1974年には米国のDisco社がこの原理を全身に応用した装置(ACTA scanncr)を開発し,1975年には国産の日立CT-H250も発表された。さらに頭部専用としては,Siemens社のSiretom,Artronix社のCAT-scanner,全身用としてOhio nuclear-Siemens社のDelta scanner,EMI-CT-5005,その他GE社,Picker社のものなどが続々と現われ,今やこれらが入り乱れてまさに百花僚乱の観を呈している。これらの器械はCTスキャンナーと総称されている。初めComputerized Transversc Axial Scanning(Tomography)と呼ばれ,その後Computerized Axial Tomography(略してCAT)とも呼ばれ,現在,‘Computed Tomography’(略してCT,装置はComputed Tomographic scanner,CT scanner)の呼称に統一されることになつた。
実際の臨床データについても,最初に英国の脳神経外科医Ambrose1)が発表して以来続々と報告が相次ぎ,わが国もこれを追い始めている。また上記の種々の機種について,それぞれの特徴の比較も行なわれている23)。ここではわれわれの施設に設置されたSiretomを中心に,EMIスキャンナーのデータも参照しつつ,CTスキャンナーについての簡単な紹介を行なうのが本文の目的である。
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