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特集 CTスキャン
CTスキャン像の読み方—頭部疾患;腫瘍
Computed tomography in the diagnosis of brain tumor
志賀 逸夫
1
Hayao SHIGA
1
1慶応義塾大学医学部放射線診断部
pp.347-360
発行日 1978年3月20日
Published Date 1978/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206912
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はじめに
CTによる脳腫瘍の検出率は98%と言われ1),従来のどの検査法よりも優れている.
CTによる頭蓋内疾患の診断は正常脳との濃度差,正常頭蓋内構造(脳室,脳槽,大脳鎌,天幕,松果体,脈絡糸球の石灰化など)の偏位・変形,頭蓋骨の肥厚・破壊などの変化および造影剤静注後の濃度増加の有無と程度による.頭蓋内病変の濃度は正常脳との比較で,低濃度(low de—nsity),同濃度(iso-density),高濃度(high de—nsity)と記述される.もちろんこの中には全体として高濃度でも低濃度部が混在して斑点状の陰影を呈することもある.脳腫瘍の場合に高濃度を呈する要因としては石灰化,血腫の存在や腫瘍細胞の密度などが関係しているようである.低濃度は嚢胞・壊死の存在や,脂肪・コレステロールの存在によると言われている.多くの脳腫瘍は脳浮腫による低濃度域に囲まれており,この場合には水分量の増加が低濃度の原因ということになる.この随伴する脳浮腫により,腫瘍自体は同濃度であつても相対的に高濃度となつて同定できることもあるし,脳浮腫の存在自体が腫瘍の存在を知る手掛りになる.脳腫瘍に伴う脳浮腫はCT上白質に認められ2),シルビウス裂付近では複雑な形をとる.
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