今月の主題 肝・胆・膵疾患の画像診断
各検査法の進歩と限界
肝画像診断のすべて
CTスキャン
森山 紀之
1
1国立がんセンター・放射線診断部
pp.1157-1163
発行日 1987年7月10日
Published Date 1987/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221004
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CTスキャンの進歩
Computed Tomography(以下CT)は,英国のG. N. Hounsfieldによって1968年に考案され,1971年Dr. J. Ambroseによって臨床的に使用された.わが国においても,1975年頃から設置され稼動しはじめた.初期の装置では撮影時間は2〜4分と長く,このために,CTは主として体動の少ない頭部領域の検査に利用された.CTは管球の動きと検出器の位置関係により,第1世代から第4世代に分類されている.第1世代のCT装置では撮影時間は2〜4分を必要とし,ほとんど頭部領域でのみ使用されていた.第2世代のCTでは撮影時間が20秒前後となり,腹部領域でも使用されるようになった.第3,第4世代のCTでは撮影時間が1〜9秒となり,肝領域画像診断の主力検査の1つとなった.
検査方法についても,造影剤を使用しない単純CT,ヨード系造影剤の点滴静注後の検査,造影剤の急速静注を行いながら検査を行う急速静注法(bolus injection法),急速静注法を行いながら経時的にCT撮影を行うDynamic CT1)が開発された.特殊な検査法としては,血管造影を行いながらCT検査を行うAngio-CTや,経動脈的にリピオドールの注入を行い,その後にCT検査を行う方法も開発された.肝領域のCTの進歩には,機械の進歩とともに,これら撮影方法の開発も見逃すことのできない重要なことである.
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