耳介癌の2症例について

CANCER OF THE AURICLE, A REPORT OF TWO CASES

　I．緒言

　聴器癌は耳鼻咽喉科領域の癌腫としては多いものではない。その中で耳介癌の占める割合は，後に述べる様に報告者によつて15〜16％と種々である。われわれは，最近2例の耳介扁平上皮癌を経験した。1例は臨床的に耳介皮角症の像を呈したきわめて稀な症例で，1例は耳輪部に小腫瘤として発生した扁平上皮癌であつた。今回は，これら2症例につき報告するとともに，耳介扁平上皮癌および皮角症について若干の文献的考察を加えて報告する。

Two cases of squamous cell carcinoma of the auricle are reported. One case in particular was diagnosed clinically as cutaneous horn but the histologic diagnosis proved to be a squamous cell carcinoma.