特集 悪性腫瘍
癌原性物質
小田嶋 成和
1
1国立衛生試験所薬品病理部
pp.657-665
発行日 1975年10月20日
Published Date 1975/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208250
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I.癌原性物質の概念 化学物質の癌原性に関する研究は,1900年代初期にその端を発し,癌原性物質(発癌物質)に関する知識は,過去60年間蓄積されてきた。現在,研究者の間で理解されている癌原性物質の概念は,「医学実験用小動物のどの種族かに癌を発生せしめ得た化合物」という漠然としたものであり,すべての動物種族に共通して癌を発生し得る化合物,あるいは人間に対する癌原性が証明された化合物という意味ではない。
過去60年の間にテストされた化合物と,テストの結果については,米国国立癌研究所が,世界中の主な専門紙に基づく調査結果を刊行している。1971年までの資料に基づいた結果が1973年までに刊行されており,今後2年毎に続刊される予定である。それによると,1971年までに約4,850の化合物についてテストが行なわれ,その中,陽性例1,850,凝陽性370,陰性1,700,不明930という結果になつている。
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