鏡下耳語
学会のあり方—支部と地方会について(2)
後藤 敏郎
1
1長崎大学
pp.696-697
発行日 1971年9月20日
Published Date 1971/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207685
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日耳鼻学会の支部と地方会の成り立ちの経緯については前号で詳しく述べてきたが,会員の中には,地方会を改組し,日耳鼻の下部組織を府県単位に1本化することは,学会の組織強化であり,また情報の交流を円滑かつ迅速に行なうためには必要であることは認めながらも,なおこれに反対するもののある理由には,現在の地方会が築きあげてきた価値を高く評価していること,改組分割によつて地方会の学問の場としての価値が低下する不安が大きいことなどが推測される。また表面には出しにくくても,評議員選出母体の変化による評議員選出分布の急変を好まない人間感情の存在することは必ずしも否定できないと思うが,これらの事情は地方会や支部によつて甚しく違つている。そのような意味では前回の改組も支部設立の段階に止めておいたことは温当な方策ではなかつたかと思う。
その後8年の経過を経た今日では学会内外の様子も随分変化し,大学や学会内に改革の嵐が吹きまくつてきたが,日耳鼻学会の組織は,支部設立による2本立の構成のままでよいものか。支部設立当時の事情もあり,国際学会に当面していた当時とは別な意味で検討してみるべき時にきているともみられる。
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