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I.はじめに
聴器癌は頭頸部悪性腫瘍の内では比較的発生頻度の少ないものとされており,本邦における発生頻度について,鳥山(寧)20)は昭和34年8月までにみられた本邦文献より126例を得,さらに自験例1例を加えて127例と報告している。その内訳は耳介癌19例,外耳道癌42例,中耳癌34例で外耳道癌がもつとも多いが,欧米におけるLewis10),Conway3),Lederman9),Rossberg14)らの報告では耳介癌の頻度が高い。われわれは昭和38年4月から昭和45年4月までの7年間に5例の聴器癌を経験した。その内訳は耳介癌1例,外耳道癌4例である。聴器癌の治療は従来,手術および放射線療法が主体をなし,化学療法は姑息的治療として用いられているにすぎなかつた。しかしKlopp8),Sullivan15)らにより制癌剤動脈内注入法が工夫改良され,さらに最近は新しい制癌剤の開発もすすみ,制癌剤による局所化学療法は,にわかに脚光をあびるに至つた。当教室においても昭和38年より頭頸部悪性腫瘍の一治療法として制癌剤動脈内注入法を行ない,その治療成績についてはすでに発表済である16)19),われわれは聴器癌5例中,4例に制癌剤動注と放射線療法との同時併用療法を,1例に制癌剤の単独動注を行ない若干の知見を得たので文献的考察も含めて報告する。
The authors report 5 cases of the cancer of external ear which they have experienced in the recent 7 years.
In 1 case of the cancer of auricle and in 3 cases of the cancer of external ear canal the responses were satisfactory when they were treated by intra-arterial infusions of anti-cancerous agents in combination with irradiation therapy.
In view of these results the authors strongly suggest the use of the present method of treatment in contrast to the usual method of employing surgery.
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