薬剤
頭頸部悪性腫瘍に対するブレオマイシンの使用経験
鈴木 安恒
1
,
三宅 浩郷
1
,
坂本 裕
1
,
犬山 征夫
1
,
小林 力
1
,
松川 純一
1
,
藤井 一省
1
1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.1015-1020
発行日 1968年12月20日
Published Date 1968/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492204044
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I.はじめに
梅沢ら1)により発見されたブレオマイシンは,Streptomyces verticillusから得られた抗腫瘍性抗生物質であり,Ehrlich carcinomaやsarcoma 180に対して強い制癌作用を有することが報告されている2)。また,市川ら3)の研究により,ブレオマイシンをマウスの腹腔内に注射した際,特に皮膚,肺臓に高濃度に分布することが明らかにされ,臨床面での追求の結果,扁平上皮癌に親和性を有することが1967年に日本泌尿器科学会において市川により発表された。頭頸部領域は統計的にも圧倒的に扁平上皮癌が多いことから,ブレオマイシンのこれら腫瘍への応用が考えられる。
腫瘍に対する化学療法には全身的投与法の他に,1950年にKlopp4)が開発した腫瘍組織内に制癌剤を高濃度に移行せしめ得る動脈内投与法がある。すなわち1950年にKloppがNitrogen Mustardを腫瘍支配動脈内に投与して,悪性腫瘍の治療に好成績を得たと発表した。以来,種々の改良が多くの臨床家により加えられ,現在の動脈内投与法が確立された。
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