特集 耳鼻咽喉科診療の経験と批判
ジフテリー
志井田 守
1
,
五十嵐 博之
1
,
佐藤 隆三
1
,
藤崎 隆三
1
1もと荘内病院耳鼻科
pp.835-839
発行日 1970年10月20日
Published Date 1970/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207544
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I.はじめに
山形県荘内地方では,昭和30年以降ジフテリーの多発をみ,31年の278例を筆頭に5年間に総計750例を数えた。当時の流行について大要は,耳喉29巻1号・30巻11号に報告した。その後小児の患者は予防接種の普及励行などに伴い減少している、しかし最近においても成人でジフテリーとは考えられない様な主訴で訪れるもの,あるいは合併症として他疾患を惹起している例などもみられるので,小児はもちろん成人であつても各種の後麻痺症状に留意しなければならない。たとえば原因不明の軟口蓋・咽頭麻痺,嚥下困難,流動物の鼻腔への逆流,嚥下ごとの馨咳,構音障害,眼筋麻痺,瞳孔の左右不同,斜視,下肢麻痺などが,ことに扁桃炎,鼻咽喉頭炎後に出現したとき,さらに原因不明の中枢神経症状が出現したときは,一応ジフテリーを念頭において菌検出に努力する必要があると思う。過去にジフテリーが多発した地方では特に留意すべきであろう。
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