私の失敗
染色のミスからジフテリー菌
影山 信雄
1
,
松本 伸也
1
1社会保険中京病院中央検査科
pp.534
発行日 1961年8月15日
Published Date 1961/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905870
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ジフテリー菌は偽膜から検出されるのが常であるけれど,私どもは一寸したミスにて耳の膿より検出したので報告し参考に供する。
当院耳鼻科において外来患者の中耳炎を手術するため,膿中の細菌を見るべくオブエクトグラスに膿を塗抹し提出されたのであるが,通告箋を見ないで耳鼻科から送られてくるものはジフテリー菌検索であろうという悪い先入観からナイセル染色をしたところ,成書に記載されているごとく両極端,あるいは両極端の中間あたりに異染小体が染つており,形態も松葉状,扇状などがあり一見純培養を想わせる如くに検出され,成績を記入するため通告箋を見たら膿の単染色にて一般の細菌を検査するように書いてあり,驚いて耳鼻科に問合せたところ通告箋の記入に間違いないとのことであり,ジフテリー菌など考えていなかつたとのことであつた。この患者の膿を数日後再び採取,ナイセル染色を行うとともに荒川変法培地(日産)に培養したところ,染色は前回と同様であり,培養所見も中心部が黒色で周辺部は灰色なので染色を行つたところ塗抹と同じ所見であつた。
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