薬剤
耳鼻咽喉科領域におけるIP-82の使用経験
坂本 伸一郎
1
,
米谷 卓三
1
,
石母田 実
1
,
竹内 利明
1
,
斎藤 久樹
1
1弘前大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.559-562
発行日 1970年7月20日
Published Date 1970/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207493
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I.はじめに
近年,副腎皮質ホルモンに代わつて,タンデリール(オキシフェンブタゾン),リリペン,ベンチリン(塩酸ベンジダミン),インダシン(インドメサシン),イブナック(イブフェナック)など多数の非ステロイド性消炎剤が開発され,リュウマチ性疾患をはじめとし,多くの炎症性疾患に使用されている。このことはステロイド性薬剤が,その投与方法において煩わしいことや,長期間投与による副作用の問題を残すのに対し,非ステロイド性薬剤は副作用の点において,さほど問題がなく,動物実験ならびに多くの臨床使用報告からもわかつているように,抗炎症,抗浮腫,鎮痛,下熱などステロイド性薬剤に匹敵するすぐれた薬理作用を示すことによる。とりわけ,イブナックは従来の非ステロイド性消炎剤とはまつたく異なる化学構造を有する物質であるが,最近,われわれはこのイブナックに構造が類似した新物質IP-82の試供品を科研薬化工株式会社より受け,耳鼻咽喉科領域の疾患40例に試用する機会を得たので,その結果を報告する。
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