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Ⅰ.緒言
近代社会生活の発展,複雑化によりわれわれの周囲にはいろいろのStressorが増加し,間接あるいは直接に作用をおよぼし,このためその精神的肉体的負担は漸次増加の傾向にある。耳鼻咽喉科領域でもこれ等Stressorを因子とする所謂近代病に属する精神身体症ならびに自律神経失調症に起因すると思われる疾患,症候は最近決して少なくなく日常しばしば遭遇するものである。したがつてその治療法の根本はこの各種Stressorの除去にあることは論を俟たないが,このことは現実の社会条件下ではほとんど不可能といつても過言ではない。よつて止むなく心理療法,薬物療法を主体としてその治療は行なわれ根本的な社会生活の改良は放置されている現状である。この中とくに薬物療法は向精神性薬剤として1950年Meprobameteが発見されて以来急速に発展し,1952年のChlorpromazineの出現を始めとしてその適用範囲の拡大と共にさらに,いろいろの薬剤が登場し多くの成果が報告されてきた。しかし,これ等薬剤には各々一長一短があり不快な副作用をともなうものも多くその選択にはしばしば非常に困惑する場合があつた。
われわれは今回Iminostibene誘導体であるInsidon(藤沢薬品工業)を主として咽・喉頭神経症,各種耳鳴,メニエル氏症候群等に使用する機会を得たのでここにその臨床効果を報告し諸氏の参考に供するしだいである。
Insidon, a derivative of iminostilbene was tested for use in various affections of the ear, nose and throat. Following results were obtained:
(1) In laryngeal neurosis isidon was effective in 15 cases out of the 18 (83.3%) when used concommittantly with the treatment which has been heretofore followed mandibular ganglion block.
(2) In treatment of tinnitus which covered various types such as nervous, eustachian, non-loss-of-hearing, and conductive loss of hearing the agent appeared to be effective in 4 cases out of the 12 (33.3%).
(3) For treatment of Menierre's syndrome isidon appeared to be effective in relieving such symptoms as chilliness and dull headaches.
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