原発性気管オツェーナの1例

TRACHEAL OZENA

　Ⅰ．緒言

　臭鼻症あるいは萎縮性鼻炎の場合，その病変が下降して咽喉頭に及ぶ例はしばしば見られるが，単独に喉頭以下を侵すいわゆる原発性気管オツェーナは比較的まれである。1876年BaginskyがOzaena Laryngotrachealisと命名して初めて本症を報告したが，それ以後本邦でも，1931年猿渡の報告^22）を嚆矢として種々報告がなされている。私どもは最近当教室において本症例を1例経験したのでこれを報告し，あわせて現在までに報告されている症例について統計的観察を加えた。

　A case of tracheal ozena that occurred as a complication of diabetes is reported. The literature of this country is reviewed with findings of 47 similar cases.