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Ⅰ.緒言
喉頭食道異常感を訴える患者は近年増加の傾向にあり,耳鼻咽喉科領域においては,いくたの研究業績があるにもかかわらず,その本態については,未だ解明されていない現状にある。本症候を起こす疾患としては,咽喉頭,気管,食道,心,縦隔などにおける器質的または機能的異常が知られている。特に食道に関してはNegus,Clerf,Henry,Jacobson,柏戸らの業績がみられ,食道壁の痙攣または麻痺がその原因になりうるとしている。われわれはすでに咽喉頭に異常感を訴えるものには,食道アトニーを認める場合が多く,これが異常感の原因になりうることを報告した。しかしながら食道アトニーと異常感の関係は,完全に解明されたわけではなく,今後なお検討すべき多くの問題を含んでいることは否定できない。特に食道アトニーの診断は従来のような食道レ線,食道直達鏡の使用によりある程度可能ではあるが,さらにいろいろの手技を用いて現在研究を行なつている。
今回は診断の一助としてバリウム嚥下後バリウムが食道壁に残溜する状態を観察し,いささか知見を得たので報告する。
For the diagnosis of oesophageal atony, heretofore, it has been a general practice to employ either, oesophagoscopy or x-ray. But, neither one was truly satisfactory. The authors devised a method by which the subject is given a barium meal and the manner in which the opacity is delayed in passing through the piriform recess, 1, 2, 3, 4 and 5 minutes after the swallowing, is recorded with x-ray pictures.
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