Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
耳鼻咽喉科領域に於ける手術に於て,常に問題となるのは出血である。他科領域の出血と異なり,一般に術野が狭く,止血操作が困難である場合が多く,更に周囲が硬組織にかこまれていて,結紮等によつて簡単に止血出来る場合が少ない。従つて一旦出血が多いとなると止血が非常に困難なので,手術に際して,術者は常に出血予防対策に心をくだいている。そこで手術時の出血に対して,従来より種々の止血剤を投与して出血予防を計つている。今回我々は武田薬品工業株式会社より提供を受けたビタミンK1(フイトナジオン)製剤カチーフN錠を手術例及び鼻出血に対して使用し,その出血予防効果並びに止血効果について検討した。最近,ビタミンK1はK3,K4に比して各種出血性素因に対し,より速効性で強力かつ持続性の血液凝固促進作用のある事が認められ,又新生児出血性疾患の予防,治療に際してはK1は溶血,核黄疸発生の危険性が殆んどなく,更に心筋硬塞,心不全,血栓症に対する抗凝血薬療法の際にみられる低プロトロンビン血症にK1が迅速,確実に拮抗作用を現わす事など,治療面におけるK1の価値が高く評価されている。我々も幾ばくかの知見を得たので,その臨床観察結果を報告する。
The effect of kativ-N by oral administration in controling hemorrhage during operation and in hemostasis for spontaneous epistaxis was tested. The following results were obtained.
In about 50% of cases the hemorrhage appeared to be under control by the use of this agent. Towards hemostasis in spontaneous epistaxis it appeared to be effective in about 70% of cases. There was no side effects in its usage.
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.