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Ⅰ.緒言
近年,肺,縦隔洞および心臓疾患に対し手術手技ならびに麻酔学の進歩につれて手術操作が加えられるようになり,外科治療学に大きな貢献をもたらしている。この領域の手術操作には術前のより正確な診断が爾後の手術の進行を容易にすることは明らかである。すなわち一般的な方法として従来から胸部疾患の診断目的には種々なX線撮影法が用いられてきたが,X線法によつても確定診断を得るには自ら限界がある。しかし,1959年Carlensにより考案された縦隔鏡検査法は肺,縦隔洞の疾患に対し気管支鏡およびX線検査法で果し得ない診断が可能となり,すでに北欧を始めヨーロッパ諸国で広く実施されており,該部の診断確定に占める役割は大きい。
縦隔鏡検査の適応は肺,縦隔洞疾患ことに腫瘍の診断に重点がおかれ,その悪性あるいは良性かの判別,ならびに内視鏡所見および病変部位からの生検によつて手術の適応性の決定をおこなう場合などに用いられる。縦隔洞内には肺癌に起因する旁気管リンパ節,気管気管支リンパ節への転移性腫瘍の存在をみるほか,神経性腫瘍,奇形腫,胸腺腫,気管支嚢腫などの良性腫瘍が好発する部位でもある事実は,治療前に腫瘍の性質を鑑別,確定しておくことは爾後の外科的治療を始めそのほかの治療方針決定に有利となる。
Abstract Mediastinoscopy is a valuable aid in a diagnostic procedure involving the lungs and mediastinum particularly for locating new growths in these areas.
A patient a man, aged 42, showed some chest affection by x-ray examination which pointed to the mediastinum but no further detail was available from this source. With the aid of mediastinoscopy the lesion proved to be a cystic tumor that arose from the bronchus. The tumor was removed surgically.
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