薬剤
Oxymorphoneによる基礎麻酔について—耳鼻咽喉科手術に対する応用
佐藤 意生
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1長崎大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.1125-1129
発行日 1967年10月20日
Published Date 1967/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203842
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Ⅰ.緒言
基礎麻酔の主な目的はいうまでもなく,精神的鎮静と疼痛の軽減にあるが,耳鼻咽喉科領域においては,患者の不安や恐怖心を除くだけでなく,応答が十分できる程度の意識の存在を必要とする場合が少なくない。そのためには意識消失をきたさずに疼痛閾値の上昇作用の強いとされるあへんアルカロイド系鎮痛剤のうち,Morphineは鎮痛作用が強く,かつ確実であるために広く用いられてきた。しかしMorphineは特有な副作用として,呼吸抑制,悪心嘔吐,便秘,および急性慢性中毒などの副作用が強いために,一般にはもつぱら,塩酸Pethidine(Opystan),Dromoranなどの合成麻薬系鎮痛剤が使用されてきた。
しかるに,塩酸PethidineはMorphineに比して疼痛閾値の上昇の程度が弱い。そのために中耳手術には通常の使用量では十分に疼痛を抑えることができない。また,DromoranはMorphineより鎮痛作用は強いが,同時に副作用もMor-phineと同様に強いために一般に用いられるにいたつていない。
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