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耳鼻咽喉科の真菌症に対するトリコマイシンの応用
山下 憲治
1
,
矢野 三郞
1
,
南 八一
1
,
疋田 紀代
1
,
山崎 万里子
1
1国立京都病院耳鼻咽喉科
pp.749-754
発行日 1956年11月20日
Published Date 1956/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201668
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細谷省吾博士等の発見されたトリコマイシンは,数少い抗真菌性抗生物質の中で最も臨床的価値の高いものとされて居り,耳鼻咽喉科領域に於ても三辺等の中耳炎,オトミコージス,鵞口瘡に対する治験及び小林等の口腔咽頭カンジダ性潰瘍に対する治験などが報告されている。我々も耳鼻咽喉科の真菌症,特に上気道深型分芽菌症に対して約2年間に亘りトリコマイシンを使用して来たので,以下にその成績を報告する。
大体,新しく提供された薬剤は,広汎な臨床実験と,かなりの時日経過によりその真価が定まつてくるものであつて,多くは時日の経過と共に忘れられ消え去つてゆき,極く少数のもののみが価値を認められ発展してゆくのである。トリコマイシンがこの不幸な「甚だ多数」の中に入るか,或は幸運な「極く少数」に選ばれるかは現段階ではいずれとも予想し得ない。我々は現在迄の成績を率直に発表するだけであつて,本剤の価値に就いての結論乃至予想を云々するものではない事を附記しておく。
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