Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
近年酵素化学の目ざましい進歩によりいろいろの酵素が発見され,耳鼻咽喉科領域においても応用されてきている。慢性副鼻腔炎においては抗菌剤の投与のみではその効果は期待しがたい状態であるが,それは一つには炎症病巣部の膿汁や壊死組織は局所の循環をさまたげ,一層炎症を増強させ一種の悪循環を呈してくることによると考えられる1)。したがって膿汁や壊死組織を分解し,これらの代謝過程を正常に戻し,消炎作用を促進するような酵素の応用が,保存的療法の一つとして登場することになる。このような目的のために現在迄いろいろの蛋白分解酵素が使用されてきた。しかし,これらは局所使用,非経口的使用によるものであり,内服薬として満足すべきものを見るに至らなかった。今回われわれは内服可能な蛋白分解酵素製剤Empynase(科研化学)を慢性副鼻腔炎に試用する機会を得たのでその終果を報告する。
Empynaseは1カプセル中Pronase-P. 7.5mg,日本薬局方Pancreatin 60mgを含有している。Pronase-P. はStreptomyces griseusより精製された蛋白分解酵素であり,PancreatinはTrypsin,Lipase,Ribonuclease,その他多くの蛋白分解酵素を含んでいる。
Empynase was administered solely for the period of 1 month to 20 patients affected with chronic sinusitis. Evaluation of the drugeffect was considered by observation of changes, that were brought about, in the nasal symptoms and signs as well as in the plain and stroboscopic X-ray pictures. The plain X-ray pictures showed cure in 75% of cases; Stroboscopic pictures showed 50%. No side-effect was noted in the use of the drug.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.