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副鼻腔炎酵素療法における問題点
佐々木 好久
1
1日本大学駿河台病院耳鼻咽喉科
pp.981-988
発行日 1965年10月20日
Published Date 1965/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203501
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Ⅰ.はじめに
酵素化学の進歩はそれが臨床医学に導入されて以来,臨床診断の目的で可成り大きな役割を果たしている。しかし治療面に酵素製品自体を導入する方法は全く新しい一つの傾向といえよう。はたしてこの治療方法が在来の治療医学の中に一定の地位を占めることが出来るのであろうか。又どんな方向に発展することが出来るのであろう。殊に耳鼻咽喉科領域では酵素化学の臨床的応用,疾病を酵素学的に診断するということは皆無であつた。寧ろ治療の困難な面をこの発展した科学の一側面から解決しようとする性急さがあつたのではないかと思う。言い古された言葉ではあるが疾病の根底をなしている病態生理学的研究特に酵素学的な代謝過程を明確にして行く努力が必要であろう。酵素療法はこうした問題を提起しているのではなかろうか。新しい発展に対して努力し又期待したい。
所で酵素治療の投与方法には静注,筋注及び経口投与更に局所使用がある。古くから用いられている消化酵素の消化剤としての応用は消化管内自体での作用を目的として居り,寧ろ局所使用とも考えられる。最近の話題の一つは何よりも経口投与による酵素療法を中心にしている。
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