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口腔炎治療の問題点
後藤 敏郎
1
1長崎大学医学部耳鼻咽喉科
pp.975-979
発行日 1965年10月20日
Published Date 1965/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203500
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Ⅰ.緒言
口腔炎は耳鼻咽喉科専門域の輪廓から見れば境界域の疾患として取り扱われて来たと見てよいかと思う。Stomatitis患者の多くのものは自ら耳鼻咽喉科臨床を訪うものの多いのがわが国の現状であり,その診断と治療法に困つている揚合の多いことも実情である。口腔炎治療の問題点は口腔炎診断の問題点にまで遡らなければならない。口腔粘膜は発生学的に見ても外胚葉性であるから,口腔の皮膚ともみられる。皮膚の病変が全身障害の顕れであるように,口腔の疾患も全身的変調の顕れである場合が多く,しかも各種の口腔病変は同じような像を呈するために病因的な診断を決めることは困難である。現在,治療に困つている種類のStomatitisは局所的な疾患というよりもむしろ全身的の系統的疾患の顕れと見た方が当つている。
Stomatitisの治療を考える上にはまず臨床上の分類が必要である。Stomatitisの分類のうちで一番わかり易く割り切れる分類は次のような局所病像による分類である。①Catarrh性口腔炎②Aphtha性口腔炎,③ビラン性口腔炎,④潰瘍性口腔炎,⑤壊疸性口腔炎 しかし,これでは病因的な診断ではないから,治療上の参考にはならない。
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