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好酸球性副鼻腔炎の病態と診断に関する問題点
Controversial problems about pathophysiology and diagnosis of eosinophilic sinusitis
松根 彰志
1
,
大堀 純一郎
1
,
吉福 孝介
1
,
黒野 祐一
1
Shoji Matsune
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科医学系健康科学専攻感覚器病学/聴覚頭頸部疾患学
pp.11-17
発行日 2009年1月20日
Published Date 2009/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101366
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Ⅰ はじめに
好酸球性副鼻腔炎は,『鼻茸や副鼻腔粘膜に著明な好酸球浸潤を認める難治性,易再発性の副鼻腔炎で,アスピリン喘息を含む非アトピー型喘息を高頻度に伴う』という理解が一般的と思われる1,2)。これに対する治療法として,現時点では,内視鏡下手術による可及的鼻茸の減量とステロイドの内服が2本柱である(表1)。
ところで,好酸球性副鼻腔炎は,英語で直訳するとeosinophilic sinusitisとなるが,少なくとも最近まで欧米の専門誌ではこうした記載はみられなかった。2008年になって,上気道領域での2大好酸球性炎症である好酸球性中耳炎と好酸球性副鼻腔炎に関する,現時点でのわが国での臨床的な理解に基づく論文がそれぞれ国際誌に掲載された。そこでは,eosinophilic otitis mediaあるいは,eosinophilic chronic rhinosinusistisの病名で記述されている3,4)。とはいうものの,最近の欧米のガイドラインで,好酸球性副鼻腔炎は独立した疾患概念あるいは診断名としてはまだ扱われていない。わが国の『副鼻腔炎診療の手引き』(日本鼻科学会/編,2007年)でも,好酸球性副鼻腔炎という名称は記述されているものの明確な診断基準は示されていない5)。
本稿では,病態と診断について明確でない部分も多い好酸球性副鼻腔炎について,最近の報告や当科での症例検討などを交えていくつかの問題点などを論じることとする。
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