硬口蓋膨大細胞腫（Oncocytoma）の1治験例—口蓋腫瘍本邦報告例についての文献的統計的考察

A CASE OF ONCOCYTOMA OF THE HARD PALATE

　口蓋腫瘍は決して稀有な疾患ではないが，その大部分は唾液腺に由来するいわゆる良性混合腫瘍であり，その他の腫瘍は比較的まれなようである。ことに単純性腺腫や膨大細胞腫（Oncocytoma）の報告は少ないようである。

　私らは最近，右硬口蓋部に発生した膨大細胞腫を経験し，これを摘出し治癒せしめたので報告し，あわせて，本邦における口蓋腫瘍報告例について，文献的に統計的考察を加えて見た。

　A case of oncocytoma of the hard palate in a woman, aged 23, is reported. With a review of this country 259 cases of palatal tumor were found.