特集 耳鼻咽喉科におけるショック様症状とその対策
〔各論〕
ショック死の病理学的考察
〔1〕監察医務上の立場から
吉村 三郎
1
1東京都監察医務院
pp.1049-1062
発行日 1963年12月20日
Published Date 1963/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203163
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はじめに
診療上の事故は医師にとつてきわめて重大問題であると同時に患者にとつても,この上もない不幸な事件である。臨床医家のうちには何10年という長い臨床歴の人でも診療事故は一度も遭遇しない幸せな人もあるし,短い臨床歴のうちで続いて何例も遭遇し,最も心を痛める死亡例に遭遇すると医師という職業に希望を失う人もあると聞いている。
医師は医師でも,われわれ監察医は診療事故死またはその疑いのある死体について,その死因を調査する医師であるから,ことに取扱いケースの多い東京では2,3年の監察医の経験で必らず1,2件の死亡例にぶつかるものである。
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