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特集 救急患者の取扱い方
監察医の立場からみた救急患者の処置
First-aid Treatment of emergency patients as observed by a medical examiner
吉村 三郎
1,2
,
並木 宏
1,2
Saburo YOSHIMURA
1,2
1東京都監察医務院
2慈恵医大
pp.995-1001
発行日 1967年7月20日
Published Date 1967/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204357
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はじめに
戦後,わが国は基本的人権の尊重,マスコミニケーションの発達,経済力の増強,あるいは社会機構の複雑化などにより人々の生活環境にも変化をきたし,あまつさえ近年は都市およびその周辺における交通災害の激増や,労災事故の多発などによつて救急患者は増大し,さらに医療に伴う各種の紛争もまた増加の傾向を示している.いつぽう,数年前,某教授の在職中における誤診率が何%であつたかなどが巷間に報道され,これが契機となつて,それよりはるか以前からあつた医家の謙虚な反省がさらに求められるようになつた.
医療に伴う紛争については近頃患者側の医学知識の普及とともに,その権利の主張も強化され,少しでも医師に過失があるとその責任を問い,損害賠償を要求しようとする最近のわが国の世相を反映し,それにまき込まれた医家は,たとえその事故が現代医学では不可抗力によると考えられる場合であつても,紛争によつて受ける心理的,経済的ないしは時間的な損失影響ははかりしれないものがある.しかし医師としては極力,紛争の因である医療事故の原因その他についての解明につとめねばならないことは当然である.
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