特集 公衆衛生と監察医制度
東京都監察医務院の現状
福永 龍繁
1
1東京都監察医務院
pp.282-287
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100062
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東京都23区内には,死体解剖保存法注1)第8条(文末の「参考条文」を参照)に基づいて監察医制度が施行され,異状死の検案,それに引き続き行われる死因究明のための解剖は,すべて東京都監察医務院(以下,医務院)によって行われている.
医務院における取り扱い件数は,平成11年以降1万件を超え,平成16年は1万1千件を上回った.この数は,東京23区内における死亡者の6人に1人に相当する.その2/3は病死であり,たとえ死亡の種類が“1.病死”であっても,年間約6,500件が医務院の取り扱いになるという現状である1).医務院で取り扱う病死は,そのほとんどが,死体になって発見されたもの,それまでの病歴では全く死亡することが予期されなかったものであり,いわゆる“突然死”と言われる範疇のものである.それだけ突然死は身近なものであり,専門家による検案,解剖を行わなければ,死因の究明が困難であることを示している.
本稿では,医務院の現状を紹介すると共に,その必要性,医療事故対応への考え方,今後の展望などについて述べたい.
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