特集 公衆衛生と監察医制度
多摩地域における監察医務業務
中村 尚道
1,2
1調布外科・消化器科内科クリニック
2東京都多摩検案医・警察医会
pp.288-291
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100063
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わが国の監察医制度は,1946年,GHQの要請で東京都はじめ政令7大都市に導入され,1948年3月に東京都監察医務院が設けられて監察医務業務を開始.突然死,伝染病,中毒死,交通災害を含む外因死等の死因究明のための検案解剖を行い,公衆衛生の向上に大いに寄与してきたことは周知のとおりである.
ただ,東京都は,都内23区と多摩地域とに行政区分が分かれており,監察医制度が適用されるのは区部のみで,多摩地域は対象外であった.区部と多摩地域は表裏一体であり,東京都医師会傘下に区部,多摩地区の各医師会は結集され,その活動方針,目的も一致している.にもかかわらず,監察医制度が多摩地域には適用されていないので,多摩格差とも言われてきた.その後,多摩地域の急激な人口増加と近代化の進む中,改めて多摩地区監察医務院設置の要望が起こり,昭和48(1973)年11月,当時の慈恵医科大学法医学・青木利彦教授を中心として多摩地区の各医師会長ならびに有志の署名運動が展開され,嘆願書が東京都医師会を経て都議会に提出された.しかし,都の財政難を理由に実現には至らなかった.
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