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咽喉頭部錯覚症に対してのChlordiazepoxideの使用経験
坂本 毅
1
,
繁 英一
1
1北海道大学耳鼻咽喉科教室
pp.585-587
発行日 1963年7月20日
Published Date 1963/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203081
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Ⅰ.緒論
咽喉頭部錯覚症の患者は,外来診療にあたつて所見が全くえられないにもかかわらず訴えが頑固なのでその取り扱いについて苦慮する場合が少くない。かつ,来科するまで数多くの病院・医院を歴訪し,様々な治療を受けていることが多く治療にあたつての苦慮を一層倍加するものである。この種の患者は,症状説明にあたつて医師が慎重さを欠くと,医師側より粗略に扱われたと受け取り,症状を柔らげないばかりでなく疾病に対する不安(特にその年齢層からみて悪性腫瘍に対して)に診療に対する不満を加え症状をさらに複雑にすることが多い。最近,各科における日常の診療にあたつて精神身体医学的な配慮の重要性が強調されて来ていることは,この種の患者に対する治療の進歩といいうる。この種の患者の精神療法の効果をさらに高めるために,精神治療剤が有効な助けとなる。
今回,咽喉頭部錯覚症の治療に,Chlordiazepoxide(山之内製薬K. K. 提供のBalance)を使用したのでその成績を報告し参考に供し度い。
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