Japanese
English
研究と報告
Chlordiazepoxide(Balance)の使用経験
Clinical experiences on Chlordiazepoxide (Balance)
森 温理
1
,
柴田 洋子
1
,
矢吹 賀江
1
,
村田 穰也
2
1東邦大学神経精神医学教室
2中野刑務所
pp.299-304
発行日 1961年4月15日
Published Date 1961/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200321
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Ⅰ.緒言
最近,スイスのRoche研究所から従来の精神安定剤や自律神経遮断剤とは化学構造式のうえからまつたく無関係で,薬理学的にも興味ぶかい作用を有する新しい型の鎮静剤Chlordiazepoxide(7-chloro-2-methylamino-5-phenyl-3 H-1,4-benzodiazepine-4-oxide hydrochloride)が開発され,Librium(Ro 5-0690)とよばれている1)(第1図)。
Randall2),3)によると,本剤は動物実験でsedationやmotor inhibitionをきたすことなしに不穏な動物を温和にさせる作用があり,この作用はMeprobamateよりもはるかに強力で,しかもChlorpromazine,Reserpieにみるような自律神経遮断作用はない。Metrazolけいれんに拮抗する作用はMeprobamate,Chlorpromazine,Phenobarbitalよりも強く,電気けいれんを予防する作用はMeprobamate,Chlorpromazineよりも強いが,Phenobarbitalなどと異なつて催眠作用はみられない。脊髄反射はMeprobamateよりも少量(約1/10)で抑制される。本剤はまた食欲刺激効果というanabolicな作用をももつといわれる。しかしMonoamineoxidase阻害作用はない。また循環系への作用もほとんどない。LD50はマウス,ラットでおのおの750mg/kg,2000mg/kgである。
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