--------------------
化膿性髄膜炎を続発せる新生児上顎洞炎治験例
宮崎 宏三
1
1紀南総合病院耳鼻咽喉科
pp.471-473
発行日 1963年6月20日
Published Date 1963/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203061
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.緒言
新生児上顎洞炎(骨髄炎)は明治42年沢辺の報告以来,昭和25年神尾の報告に到るまでに,明確な記載のあるもの78例,その後現在まで更に30例以上を数える。このように本疾患は決して稀有なるものではないが,患者が新生児であるため鼻痛鼻閉塞などの鼻症状を自ら訴えず,頬の上内部または外眥部の強い発赤腫脹を来し,外科医,皮膚科医,あるいは眼科医により頬部,眼瞼部の癤,丹毒,または涙嚢炎として治療を受け本症の発見が遅れ,ために嚥下性肺炎,敗血症,化膿性髄膜炎などを続発し重篤な経過を招くことが少くない。神尾の報告によれば本症の死亡率は27%を示し,しかも死亡例は比較的報告されずに終ることが多い点を考慮すると,抗生物質の発達した現今においても必ずしも予後の良い疾患とはいえないようである。
最近,私は耳鼻科医に乏しい地方のため,本症の診断がつかぬまま,強い髄膜炎症状を発来した症例に遭遇し,幸にも治癒せしめ得たので報告する。
An infant girl, aged 50 days, was found to be affected with a marked swelling of her right cheek, fever and signs of meningismus. The diagnosis of neonatorym maxillary sinusitis and purulent meningitis was established. The patient recovered with an operative treatment.
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.