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高年齡患者の巨大鼻茸摘出後に続発した化膿性髄膜炎の1治験例
富田 寬
1
,
鶴町 昌也
1
1日本大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.590-594
発行日 1958年7月20日
Published Date 1958/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202052
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Ⅰ.緒言
鼻性化膿性髄膜炎は,耳疾患に由来するものに比して稀なものであり,従来は予後甚だ不良なるものとされて来たが,抗生物質の普及によつて其の治癒率は著しく向上し,昔日の感無しとするも,尚且つ其の予後は予断をゆるさぬものがある。又,本疾患の誘因として,術後性のものが過半数を占めると云う事は,術者にとつて,あまり気持の良い事ではない。そして従来の報告は,その絶対多数が副鼻腔開放術後に続発したものであり,鼻茸手術に続発せる如きは,極めて稀な事故である。
今般,私共は,高年齢患者で慢性副鼻腔炎を合併した両側鼻腔及び後鼻孔の巨大な鼻茸の摘出手術後髄膜炎を続発した稀有な1例を経験す,テトラサイクリンの使用により幸に治癒せしめ得たので,こゝに報告する。
Meningitis was found in a man, aged 63,20 hourse following removal of large nasal polys from both sides. The patient made an uneve-ntful recovery under the regimen of intra-muscular and oral administration of tetracy-clin and that of intramuscular streptomycin.
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