特集 鼓室形成術
最近6年間の鼓室成形手術(風間法)—Ι.497症例の手術成績及びその観察,Ⅲ型に対する新工夫,酸,前処置による鐙骨可動術 Ⅱ.新聴覚機構によるⅣ型の鼓室成形手術 Ⅲ.その他の諸問題について
風間 保彦
1
1前三重医大
pp.917-927
発行日 1962年10月20日
Published Date 1962/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202936
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私がJuers1)2)とは無関係に彼の云うTympanostapediopexyと同様な手術法1952年10月に考案してより10年になる。JuersもMelzer3)と同様最初は鼓室腔を造成する事のみにて聴力が回復すると考えていた様である。私は恩地教授の助言もあつて昭和29年2月(1954年)私の手術法を風間法としてその聴覚理論と共に,耳鼻臨誌4)5)上で発表した。その後外耳道皮膚を鼓膜と共に剥離しこれを前壁に有茎とするのは同様であるが,鼓膜穿孔の大なる時その穿孔を縫合閉塞する事により,有茎皮弁を一層使用し易い様に改良した。昭和31年7月(1956年)風間法その後の発展と題して日耳鼻及び耳鼻臨誌上6)7)で委しく改良法について説明した。その後細部に関しては次々に改良を8)9)10)12-α)加えて居るが,大体に於ける私の手術方針は一貫して居り,昭和37年3月現在迄約6年間にこの鼓膜穿孔を縫合し外耳道有茎皮弁を使用して鼓室成形手術を行つた症例が497例に達した。此処で一応統計的に纒めて検討し私の本手術の今後の研究発展の資料とすると共に,本手術に興味を持つて居られる諸先生方の御参考にし又御批判を仰ぐ次第である。
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