Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.はじめに
わが国において慢性中耳炎の手術に際して病変の治癒をはかると同時に,とくに伝音係の修復を目的としていろいろの工夫がなされるようになつてすでに13年余を経過した。この間欧米においてもこの手術はすでにTympanoplastyと命名され多数の真摯なる学者がたがいに他に影響を与えながら,当初に行なわれていた手術法を改善進歩させて来た。現在行なわれている手術法を当初のものと区別するため,当初に行なわれていた手術法を古典的鼓室成形手術と呼ぶに至つている。鼓室成形手術も他の例に漏れず研究されればされるほどまた手術の例数を重ねれば重ねるほど疑問点問題点が続出し,これらに対する新工夫および対策が研究され実施されているがおのおの一長一短あり理論的にも相対立矛盾する点も多く含んだまま現在に至り,鼓室成形手術法は百花撩乱の状態で初学者がいざこの手術を始めようとするといかなる手術法を採用すべきかに嘸迷うことであろう。
鼓室成形手術の目的には伝音係を修復させようとする目的と病変を治癒させようとする目的との二つがあるが,これらは元来完全には相入れざるものでありこの二つの目的を同時に解決せねばならないところに鼓室成形手術法の現在の混沌たる状態を来たした原因がある。
The author maintains that tympanoplasty should be performed not only for the purpose of regaining the hearing loss but also of at-taining a dry ear in chronic otitis media.
The author's second method differs from that of the first by preservation of the mastoid cells in the former.
One stage operation tympanoplasty was performed in cases of choleasteatoma.
For treatment of cases with continued aural discharge following initial tympanoplasty, a special operative method for reoperation is described.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.