特集 鼓室形成術
Tympanosclerosis
藤沢 康武
1
1藤沢病院
pp.929-933
発行日 1962年10月20日
Published Date 1962/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202937
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I.まえがき
1873年Tröltschは所謂,"Tympanalsclerosis"と云う疾患のうちに,癒着の除去により耳小骨連鎖機能の回復するような症例のあることを記載した。しかしその当時はOtosclerosisとの明確な区別は可能ではなかつた。後にWalfは炎症性刺激とアレルギー反応が誘因となつて中耳粘膜の結締織中に硝子様肥厚がおこり,之に石灰沈着が始まり真の骨化に導くもののあることを記載した。之が現在のTympanosclerosisの病態に関する記述の初めであろう。次にZöllner及びBeckは鼓室成形術において之等の石灰板(Calcareous plaques)は比較的容易に除去され,障害された骨連鎖機能を修復せしめ得ることを示した。
Zöllnerは彼の豊富なる鼓室成形術についての経験よりH. G. Kobrak:The Middle EarのPlastic Surgery of the Sound-Conduction System of the Middle Earの章に,このTympanosclerosisの問題を取り上げ詳述されている。
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