Japanese
English
臨床 薬剤
ホスタサイクリンの開腹手術時腹腔内撒布法の効果
Effect of Hostacyclin intraabdominally diffused in laparotomy
真田 幸一
1
,
緒方 健次郎
1
Koichi Sanada
1
1三楽病院産婦人科
pp.955-956
発行日 1962年12月10日
Published Date 1962/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202724
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緒言
近時,我々の領域における各種感染症に対し,Tetracycline系抗生物質の静脈注射法が試みられるようになつたが,とくに産褥性子宮内膜炎,婦人科手術後感染症などに対する,Pyrrolidino—methyl-tetracycline (以下PRM-TCと略す)静注法の効果は顕著なものがある。さらに最近,開腹手術に際し,PRM-TCの腹腔内撒布が試みられているが,その抗菌スペクトラムの汎い点からみて,従来のペニシリン・ストマイ・サルファ剤などの腹腔内撤布に比し,より良好な成績が期待される。しかしながら一方,このような抗生物質などの局所的適用においては,これが術後腹腔内癒着形成を増す一因となるおそれもあるので,この点に充分な考慮を払う必要があろう。
われわれはこのたび,PRM-TC剤として,Hoechst社よりホスタサイクリンの提供を受けたので,先ず少数例ではあるが家兎を用いて動物実験的に癒着形成の程度を検討したのち,産婦人科手術患者約30例にPRM-TCの腹腔内投与を行ない,術後感染予防効果,癒着形成の有無などを追及した結果,満足すべき成績を得たので報告する。
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