--------------------
副鼻腔炎術後に起つた視力障害の1例
河野 康雄
1
,
平山 千二朗
1
,
片岡 秀夫
1
,
根来 良夫
2
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科教室
2京都府立医科大学眼科教室
pp.867-869
発行日 1961年10月20日
Published Date 1961/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202755
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.緒言
眼と副鼻腔とは解剖学的に見て,きわめて接近した器官であり,従つて両者の間には臨床的にも相当深い関係にあることは広く知られている。Berger(1886)が解剖学的な面から見て,副鼻腔疾患や鼻腔疾患が眼疾患を起し得ることを指摘した。以来年月の経過とともにそれまで原因のわからなかつた眼疾患も鼻との関係が詳しく研究され,球後視神経炎をその代表としていわゆる鼻性眼疾患は数多く知られるようになつた。そうしてこれらの疾患は耳鼻科的な手術の対象となり,それによつて本病が治療に向うのが通常となつている。
一方,かように密接な関連があるため,副鼻腔手術によつて起つてくる眼症状も当然考えられ,事実術後に見られる眼症状は,1〜2列挙しても眼瞼浮腫・皮下溢血・知覚異常・結膜下出血・結膜浮腫・涙嚢炎・鼻涙管狭窄・眼筋麻痺・眼球突出などがみられ,これらは程度の差こそあれ,われわれが日常よく経験し,不快な思いをするところである。更に強い影響を蒙つた場合には,視神経萎縮・視束陥裂・視束管内出血・網膜出血・中心動脈栓塞などを起し,一夜のうちに失明におよぶ場合もある。
Following maxillary sinus operation and ethmoidectomy performed through the maxillary sinus approach a man aged 21 was affected with loss of vision with a sudden onset. The cause of this condition is studied and discussed.
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.