特集 出血と止血
Ⅱ.各論
2.腫瘍の出血及び止血
c.喉頭
北村 武
1
1千葉大学
pp.331-332
発行日 1961年4月20日
Published Date 1961/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202656
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喉頭の良性の腫瘍で出血するのは血管腫であるが,これは非常に稀れである。悪性腫瘍としては肉腫は稀れで問題となるのは癌である。初期の癌からは急性炎症が合併した際にみられる可能性があるのみで,出血の起るのは癌性潰瘍が形成された以後である。
喉頭の癌では出血をみる前に嗄声,異物感,咳等の症状が先行する。出血をみるのは軽度の呼吸因難,喘鳴,悪臭性喀痰等を伴つておる中期又は末期に属する症例であつて,従つて喉頭癌の症状としては早期診断に寄与する所は少ない。しかし如何に鈍感な患者でも出血をみれば医師を訪れる気持が起るであろうと思われる。
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