特集 耳鼻咽喉科診療の経験と批判
喉頭癌—部分切除
北村 武
1
1千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.869-873
発行日 1970年10月20日
Published Date 1970/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207550
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
喉頭の機能をのこして喉頭癌を治そうとする試みは全摘より古い。その当時は癌の性質を知らずにそれで十分と考えて行なわれたのかもしれない。しかも全摘をすると手術死をする率の高かつたことも一因であつたろう。ともかくCordectomyは1920年台にすでに80%の治癒率が報告されている1)。また当時は全摘後の代用発声の研究が不十分であつたことも一因であつたろうが,一方,言語が人にとつて重大な意義をもつており,生命の危険をおかしてまでも,発声の機能をのこしたい希望がある。
放射線照射は音声の保存という点では大きな意義をもつている。しかし誠に困つたことには照射と部分切除の適応の範囲は重なり合つている。しかも照射によつて部分切除の範囲を拡げることには残念ながら必ずしも成功していない。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.