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脳転移を来たした鼻腔黒色肉腫剖検例
永井 氾
1,2
,
北嶋 俊之
1,2
,
瀧沢 伸行
1,2
1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
2私立学校教職員共済組合下谷病院
pp.879-882
発行日 1960年10月20日
Published Date 1960/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202549
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I.緒言
耳鼻咽喉科領域に於ける悪性黒色腫瘍の発生は比較的稀なものであつて,特に鼻腔竝に副鼻腔に原発した黒色腫瘍の報告例は1882年Niebergに始まり,本邦に於ては1918年穂積の報告以来現在迄甚だ少いものである。元来黒色腫瘍は皮膚,網膜,紅彩,脈絡膜等色素顆粒の多い組織より発生し,早期に全身に転移を形成する悪性の腫瘍である。しかも臨床的竝に病理組織学的に特異な所見を呈し,其の発生機転に就いても諸説があり,猶不明の点が多い。最近我々は本邦文献上最年少と考えられる鼻腔(下甲介)に原発,脳転移を来たした黒色肉腫の1例を経験し,特にその全経過を観察し,更に剖検所見を詳らかにし得たので,文献的考察を併せて茲に報告する。
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