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緒言
強大音響や爆発音に常に接する職業に従う人々が職業性難聴に陥り,之に対する策をとらなかつたり環境に変化の起らない場合には年月の経過と共に略々一定のコースを経て症状の増悪を見ることは周知の事実である。近年職業性難聴の理論的並びに臨床的研究はかなりめざましい進歩をとげ,音響によるところの聴器障碍の病理や臨床像に対する追究に関しては多数の報告が見られるようになつた。しかしながら之の予防及び治療に関しては未だに決定的な手段は見出されていないのが現状であつて,耳栓の装川やVitamin殊にB1の応用によつて或程度目的を達しているとはいつても尚完全にこの種の疾病が制圧されてはいないのが只今迄の状態である。私共の病院に於ては造船所の従業員を患者として取扱うことが多いので此の種の事業場従業者の例にもれず所謂職業性難聴の症状を呈して外来を訪れる患者に時々接するのである。しかも之等の造船所従業員に対しては一応の聴覚検査,環境調整,耳栓装用の強制,栄養に対する配慮等が常に会社によつて行われているのであるが,それにも拘らず若干の患者の発生をみているのである。之等はNoise-susceptibilityに関する個人差の問題とか,耳栓装用に伴つて殊に夏期に多発する外耳炎の為の耳栓装用嫌悪等色々考えられる原因はあるが厳重な衞生管理の手をもれて発生するこの種の聴器障碍に対して今回Chondroitin sulfate(コンドロン)の供試を得て若干例に使用し臨床的にその経過を観察することが出来たので只今迄の使用例に就てその結果の概要を報告する。
Sugano and Akino give a further report on the effect of chondroitin sulfate in coping with the treatment of occupational deafness by adding another six case reports. They believe that the use this agent to be highly promising as means of preventing as well as treatment of occupational deafness.
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