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内耳性難聴並びに耳鳴に対するChondroitin Sulfateの効果に就いて
山下 隆章
1
,
原野 博之
1
,
井口 卓夫
1
1広島大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.405-408
発行日 1959年5月20日
Published Date 1959/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202249
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I.緒言
周知の如く,結合織の重要成分であり,体組織の一大構成成分をなしているChondroitin sulfateに関する研究は,近来,臨床方面に於ても広く施行され,該薬品は可なりの治療効果を有するものと見做されている。従つて1936年Crandall等による該薬剤の治療方面への利用以来,其の作用機転に関しては漸次解明されつつある所であるが,特に興味ある事は,Chondroitin sulfateが細胞賦活作用を有すると云う事であつて,吾人耳科医が日常相遇する内耳性難聴,即ち蝸牛内耳の神経組織,感覚細胞等の機能低下に伴う聴力障碍の患者に対し,その治療効果は次第に認められつつある現状である。今回,余等は,内耳性難聴並びに内耳性耳鳴の症状を呈して広島大学医学部耳鼻科外来を訪れた患者若干例に,Chondroitin sulfate(3%Chondron 2cc)を使用し,臨床的観察を施行せる所,稍々興味ある所見を得たので,茲に其概要を報告する。
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