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現在我が使用しているFränkel鉗子(これは日本医科器械学会目録ではFränkel鉗子となつているがDenker-Kahler全書でみるとSchwarz氏鉗子によく似ている)はよく作られている。喉頭内部の試験切片をとり或は声帯ポリープをとる場合でも,これらの目的物がかなり大きい場合はこの鉗子で何等差支えはない。然しもつと小さい切片をとり或は小さい謠人結節を摘出したり,又声門内に鉗子を入れようとする時は今迄の鉗子では目的物が鉗子の為にかくれてみえなくなり,或は周囲にふれて反射運動が起つて困ることが屡々ある。これは今迄のFränkel鉗子が太すぎるからである。
それで私は先ずこれよりも細いものを試作した。その大きさは第1図に示す様に全長は今迄のものと略同じであるが,直径は部分により異なるが大体今迄の鉗子の約1/2乃至2/3程度に小さい。詳細は第1図を参照せられたい。図中左方は在来のフ鉗子,右方は新作品の寸法を示す。この程度に細くしたものでもこれをせまい喉頭に入れてみると,今迄の鉗子よりはかなり視野が広くなり,手術操作が容易になる。殊に声の使用を專門職業とする人の小さな結節或はポリープを摘出する場合には甚だ好都合である。次に声帯辺縁部或は声門下腔部にある小さい結節をとる時にはどうしても鉗子を声門内に入れる必要があるが,この様な時にもせまい声門部で他側の健康な声帯を傷つけない様に尖端の嘴は一側に約1粍の開放を作つた。これを鉗子の先端から長軸に沿うてみると第1図の下端の如くとなり,左のフ型鉗子では全く円く閉鎖しているが,右方では片側が開いている。この為に患側は完全に嘴が閉鎖しても他側は常に開放しており,たとえその側の声帯をつまんでも傷つけることはない。新鉗子ではこの為に右開放型左開放型を別々に製作した。嘴部は左右共用の為には廻転式にすればよいが,そうすると廻転部分でどうしても直径が大きくなるので不都合である。
Hohsui devises a new laryngeal punch forceps to be useful in removing even a small growth. The forcep as devised by Frankel is often at disadvantage by being rather thick causing the object for removal to be hidden from direct view beyond the tid of that instrument. To overcome such a difficulty the thickness of the present intrument is cut down to 1/2 or 2/3 the diameter the original one.
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