特集 耳鳴と眩暈
第2章 眩暈
ストレプトマイシンによる眩暈に就て
浅井 良三
1
,
北原 正章
1
1京都大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.886-890
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201468
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緒言
ストレプトマイシン(以下S.T.と略記する)の副作用としては,
1.ヒスタミン様症状
2.過敏症状
3.腎機能障碍
4.諸神経症状
5.其の他
があげられている。藥剤の精製純化が行われ更にヂヒドロストレプトマイシン(以下D.H.Sと略記する)が作製せられるに至つて此等の副作用は甚だ僅微となつたが尚過敏症及神経症状は依然として存在することは一般の認めるところである。
神経症状はS.T.が臨床的に用いられた当初から注目せられ特に第8対脳神経につよい親和性を有することが認められこれについての幾多の臨床的及実験的研究が報告せられてある。第8対脳神経症状としてあげられる聴力障碍及眩暈のうち眩暈はD.H.S.が用いられて以来極めて少くなり之れに反して聴力障碍は増加の傾向にあるから従つて我耳鼻咽喉科専門家の関心も主としてそれに向けられその予防及治療に努力が注がれている。
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