連載 症候学メモ・25
頭位眩暈と頸位眩暈
平山 恵造
1
1千葉大学神経内科
pp.85
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205842
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◆頭の位置を変え,特に頭をある一定の位置にしたときに起こるめまいを頭位眩暈という。いわゆる良性発作性頭位眩暈benign paroxysticpositional vertigoでは,めまいは数秒から数十秒続き(1分を越えない),周囲のものが回転してみえたり,体の浮上感や,頭がぐるぐる回るなどの訴えがある。その頭位をとることをやめると急速にめまいは消失する。問題の頭位を繰返せばめまいは再現する。急性前庭神経炎では,めまいが罹病期間中続いていても,頭位を変換するときに一層強いめまいを訴える。これも一種の頭位眩暈である。
◆この種の,特に良性頭位眩暈の患者では,坐位をとりつづけているとめまいを感じなくなるため,昼間は坐位をとることが多く,長いので,その限りにおいてはめまいがない。それなのに臥位をとるとめまいが起こるので来院するが,よく聴くと頭の右または左の一方を下にするとめまい感が起こり他方を下にしては起こらない。しばしば嘔気,不安感を伴う。
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